健康診断の見方
特定健康診査の検査項目と基準値ガイド

毎年健診を受けていて受診をするように勧められているけど、「症状もないからいいかな、、」と放置してしまっていることも少なくありません。

健診の数値には、ちゃんと意味があります。特定健診で調べる項目を、「何を見ているのか」「どの数値から気をつけるのか」「なぜ治療した方が良いのか」をわかりやすく解説していきます。

気になる結果は、そのままにせず相談するようにしましょう。

このページの「基準値」の読み方

  • 保健指導判定値
    生活習慣を見直すサインです。まだ病気とはいえませんが、今の生活を少し変えることで病気の発症を防げる段階です。食事・運動・お酒・たばこを振り返るきっかけにしましょう。
  • 受診勧奨判定値
    医学的に「病気の範囲」とされる値。すぐ薬とは限りませんが、原因をくわしく調べる必要があります。
    → この値を超えた項目は、二次健診(精密検査)

① 身体計測

体格から、内臓脂肪のたまり具合や生活習慣病のリスクを読み取ります。

BMI 肥満度の指数

  • 保健指導判定値:
    25.0 以上
  • 標準:
    22 前後

身長と体重から計算する、太りすぎ・やせすぎの目安です。「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で求めます。25以上は「肥満」とされ、内臓脂肪がたまりやすく、高血圧や糖尿病などの引き金になります。22前後がもっとも病気になりにくいとされる標準値です。低すぎる場合も、栄養不足や体力の低下のサインのことがあります。

腹囲 おへそまわり

  • 保健指導判定値:
    男 85cm/女 90cm 以上

おへその高さでお腹まわりを測り、「内臓脂肪」がたまっていないかを見ます。皮下脂肪よりも、内臓のまわりにつく脂肪のほうが生活習慣病と深く関わります。腹囲が基準を超え、さらに血圧・血糖・脂質のどれかが高いと「メタボリックシンドローム」と判定されます。見た目が細くても内臓脂肪が多いことがあるので、数値での確認が大切です。

② 血圧

血管にかかる圧力から、動脈硬化のリスクを調べます。

収縮期血圧(上) mmHg

  • 保健指導判定値:
    130 以上
  • 受診勧奨判定値:
    140 以上

心臓が血液を送り出すときに、血管の壁にかかる圧力です。数値が高い状態が続くと血管に負担がかかり、知らないうちに動脈硬化が進みます。

拡張期血圧(下) mmHg

  • 保健指導判定値:
    85 以上
  • 受診勧奨判定値:
    90 以上

心臓が力を抜いて血液をためているときの圧力です。高血圧は自覚症状がほとんどないまま、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めるため「サイレントキラー」とも呼ばれます。家庭でもくり返し測ると、より正確な状態がわかります。

③ 血中脂質

血液中の脂質のバランスから、動脈硬化のなりやすさを見ます。

中性脂肪(TG) mg/dL

  • 保健指導判定値:
    150 以上
  • 受診勧奨判定値:
    300 以上

体を動かすエネルギー源になる脂肪ですが、増えすぎると血管を傷め、動脈硬化を進めます。食べすぎ・飲みすぎ・甘いものや油の多い食事で上がりやすい数値です。食後は高くなるため、正しくは空腹時に測ります。極端に高い場合は、膵臓に負担がかかることもあります。

HDLコレステロール mg/dL

  • 保健指導判定値:
    39 以下
  • 受診勧奨判定値:
    34 以下

血管にたまった余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す「お掃除役」で、「善玉コレステロール」とも呼ばれます。少なすぎると掃除が追いつかず、動脈硬化が進みやすくなります。運動不足・喫煙・肥満で下がりやすく、体を動かすと増えやすい数値です。他の検査項目と違い「低いほうが要注意」です。

LDLコレステロール mg/dL

  • 保健指導判定値:
    120 以上
  • 受診勧奨判定値:
    140 以上

肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割で、多すぎると血管の壁にたまり、動脈硬化の大きな原因になるため「悪玉コレステロール」とも呼ばれます。自覚症状はありませんが、高い状態が続くと心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。脂っこい食事・運動不足・体質が影響します。中性脂肪が高いときなどは、かわりに「Non-HDLコレステロール」(保健指導 150以上/受診勧奨 170以上)で評価することもあります。

④ 血糖(代謝系)

血液中の糖の状態から、糖尿病のリスクを調べます。※空腹時血糖とHbA1cはどちらか一方の測定でも可。

空腹時血糖 mg/dL

  • 保健指導判定値:
    100 以上
  • 受診勧奨判定値:
    126 以上

一定時間食事をとらない状態で測った、血液中のブドウ糖(血糖)の濃度です。高い状態が続くと血管が傷つき、糖尿病やその合併症につながります。糖尿病は初期にはほとんど症状がなく、健診で気づくことが多い病気です。

HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー) %・NGSP

  • 保健指導判定値:
    5.6 以上
  • 受診勧奨判定値:
    6.5 以上

過去1〜2か月の血糖値の平均をあらわす数値です。その日の食事に左右される血糖値と違い、ふだんの血糖の状態がわかります。高いほど、長く血糖が高い状態が続いていたことを意味し、糖尿病の診断や経過の確認に使われる大切な指標です。

尿糖 尿検査

  • 基準:
    陰性(−)

血液中のブドウ糖が、尿にもれ出ていないかを調べます。血糖値がかなり高くなると、腎臓で処理しきれず尿に糖が出てきます。陽性のときは糖尿病が疑われます。ただし体質などで出ることもあるため、血糖の検査とあわせて判断します。

⑤ 肝機能

肝臓の細胞から出る酵素を測り、肝臓の傷みやお酒の影響を見ます。

AST(GOT)/ALT(GPT) U/L

  • 保健指導判定値:
    31 以上
  • 受診勧奨判定値:
    51 以上

どちらも肝臓の細胞に多く含まれる酵素です。肝臓が傷つくと血液中にもれ出して数値が上がります。脂肪肝・お酒の飲みすぎ・ウイルス性肝炎などで高くなります。ASTは心臓や筋肉にもあるため、ALTのほうが肝臓の状態をより反映します。症状の出にくい肝臓の異常を、早めに見つける手がかりになります。

γ-GT(γ-GTP) U/L

  • 保健指導判定値:
    5.6 以上
  • 受診勧奨判定値:
    6.5 以上

肝臓や胆道にある酵素で、とくにお酒の影響を受けやすい数値です。飲酒量が多い人や、胆道がつまっているときに高くなります。お酒を控えると比較的早く下がりやすいのも特徴で、脂肪肝でも上がることがあります。

⑥ 尿検査

尿のなかの成分から、腎臓のはたらきを調べます。

尿蛋白 尿検査

  • 基準:
    陰性(−)

本来は尿にほとんど出ないたんぱく質が、もれ出ていないかを調べます。陽性が続く場合は、腎臓のはたらきが低下しているサインのことがあり、腎臓の病気が隠れていないか調べる必要があります。激しい運動や発熱で一時的に出ることもあるため、くり返しの確認が大切です。

⑦ 問診・診察

数値には表れない、生活習慣や体の状態を確かめます。

質問票(問診)

  • 内容:
    服薬歴・喫煙・生活習慣 など

これまでの病気や服用中の薬、たばこ・お酒・運動・睡眠などの習慣をうかがいます。とくに喫煙は動脈硬化を進める大きな要因のため確認します。検査の数値とあわせて、リスクを総合的に判断するための土台になります。

身体診察(理学的所見)

  • 内容:
    医師による診察

医師が体の状態を直接診て、気になる所見がないかを確認します。数値だけではわからないサインを拾う大切な機会です。気になる症状があれば、遠慮なく伝えましょう。

その他詳細な健診項目

前年度の結果などをもとに、医師が必要と判断した場合に行う項目です。全員が受けるわけではありません。

心電図検査

  • 内容:
    心臓の電気の流れを記録

心臓が動くときに出る微弱な電気の流れを波形として記録し、心臓のリズムや負担を調べます。不整脈や、心筋梗塞・狭心症などの異常を見つける手がかりになり、高血圧で心臓に負担がかかっていないかもわかります。痛みのない、体に負担の少ない検査です。

眼底検査(当院では施行しておりません)

  • 内容:
    目の奥の血管を観察

目の奥(眼底)の血管を直接見ることができる検査です。体の中で血管をそのまま観察できる数少ない場所で、動脈硬化や高血圧・糖尿病による血管の傷みがわかります。糖尿病網膜症や緑内障など、目の病気の早期発見にも役立ちます。

貧血検査 血色素量ほか

  • 保健指導判定値:
    血色素量 男13.0/女12.0 以下
  • 受診勧奨判定値:
    血色素量 男12.0/女11.0 以下

血色素(ヘモグロビン)は、赤血球の中で酸素を運ぶ成分です。少ないと全身に酸素が行きわたらず、貧血となり、だるさ・息切れ・動悸が起こります。あわせて測る赤血球数(参考:男400〜540万/女350〜500万)やヘマトクリットも判断に使います。鉄分不足のほか、まれに体のどこかの出血が隠れていることもあります。

血清クレアチニン・eGFR 腎機能

  • 保健指導判定値:
    eGFR 60 未満
  • 受診勧奨判定値:
    eGFR 45 未満

クレアチニンは筋肉が使われてできる老廃物で、腎臓でこし取られて尿に出ます。腎臓のはたらきが落ちると血液中にたまり、数値が上がります。この値と年齢・性別から計算するのがeGFRで、「腎臓が今どれくらい働いているか」を割合のように示します。腎臓の病気(慢性腎臓病)は症状が出にくいため、数値での早期発見がとても重要です。

気になる数値は、そのままにしないで相談しましょ

健診は、自身の健康に向き合う「きっかけ」です。とくに赤い「受診勧奨判定値」を超えた項目があった方は、二次健診(精密検査)で原因を確かめることを強くおすすめします。

「症状もないからいいや、、」と軽く見るのではなく、早めに一歩踏み出すことが、将来の重い病気になる可能性を防ぎます。

喘息だと思ったら実は心不全の発作だった、ということも少なくありません。当院では「呼吸が苦しい」という症状の患者さんを数多く経験してきた循環器専門医が診察しますので、息苦しさや喘鳴を自覚した際は、早めに当院へご相談ください。

▶ 当院での二次健診の予約はこちら

電話番号:043-309-8228
予約URL:https://shimada-clinic.reserve.ne.jp/sp/index.php

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