不眠症とは
「布団に入ってもなかなか寝付けない」
「夜中に何度も目が覚めてしまう」
「一度起きると眠れなくなってしまう」
このような経験はありませんか?
実は、不眠の悩みはとても身近なものです。日本人を対象とした調査によると、成人の約5人に1人が不眠を感じており、60歳以上では約3人に1人が不眠に悩んでいるとされています。
つまり、不眠症は誰にでも起こりうる症状なのです。
不眠症とは?
不眠症とは「十分な睡眠がとれず、そのために日中の生活に支障が出る状態」をいいます。
ただ単に「眠れない夜がある」というだけではなく、日中のだるさ、集中力低下、気分の落ち込み、イライラなどが続く場合、不眠症と考えられます。
不眠症は大きく分けて次の4つのタイプがあります。
- 入眠困難:寝つきが悪く、布団に入ってもなかなか眠れない
- 中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまう
- 早朝覚醒:朝早く目が覚めてしまい、その後眠れない
- 熟眠障害:しっかり寝ても休んだ感じがしない
これらはいずれも生活の質を大きく下げる原因となります。
さらに、不眠が続くことで高血圧、糖尿病、心臓病、脳卒中といった生活習慣病のリスクが高まることも知られています。
不眠は、体と心の両面に害を及ぼし、放置すると健康寿命にまで影響する重大な問題なのです。
不眠の原因は?
不眠の原因は一つではなく、さまざまな要因が組み合わさっていることがほとんどです。
生活習慣の乱れ
- カフェイン摂取
コーヒーやお茶に含まれるカフェインは覚醒作用があり、寝る前6時間以内に飲むと、深い眠りを妨げます。 - アルコール摂取
一時的に眠気を誘いますが、睡眠を浅くし、途中で目が覚めやすくなります。 - スマートフォンやテレビ
寝る前の強い光は脳を覚醒させ、寝つきを悪くします。 - 運動不足
適度な運動は睡眠の質を改善しますが、全くしない生活は不眠を招きやすくなります。
心理的ストレスや不安
悩みごとや心配事が頭から離れないと、交感神経が優位になり、リラックスできずに眠りにくくなります。
身体や心の病気
慢性的な痛み、呼吸器疾患、うつ病や不安障害なども不眠の原因になります。
薬の副作用
一部の薬(ステロイド、抗がん剤など)は不眠を引き起こすことがあります。
改善のための工夫
不眠症の多くは生活習慣を整えることで改善します。次のような工夫を試してみましょう。
- 毎日起きる時間、寝る時間を一定にする
- 寝る前のスマホやテレビを控える
- 午後以降はカフェインを避ける
- 就寝前のアルコールを控える
- 日中に軽い運動をする(散歩やストレッチなど)
- 寝る2時間前に入浴して体温を下げやすくする
これらは「睡眠衛生」と呼ばれ、睡眠の質を高める基本的な方法です。
不眠症の治療について
生活習慣の見直しをしても改善しない場合や、日常生活に強い影響が出ている場合には、薬の治療が検討されます。
不眠症治療薬にもさまざまな種類があります。
従来の睡眠薬
脳の働きを抑制する作用が主です。古くから使用されているタイプで即効性が高いですが、依存性があるものが多く、注意が必要です。
新しいタイプの睡眠薬
自然に眠りを促進する作用で、依存性が低いですが、効果が出るまで期間が必要なことがあります(オレキシン受容体拮抗薬など)。
「睡眠薬=怖いもの」と思う方もいますが、医師と相談しながら使えば安全に利用できます。無理に我慢するよりも、必要に応じて正しく治療を受けることが大切です。
まとめ
不眠症は「年齢のせいだから」「体質だから」と我慢するものではありません。
多くの方が、生活習慣の改善や適切な治療で快適な睡眠を取り戻すことができます。
- 眠れない日が続いてつらい
- 朝スッキリ起きられない
- 日中の集中力や気分が落ちている
このようなことでお困りの時は、ぜひ一度当院にお気軽にご相談ください。
※すでに複数の不眠症治療薬を服薬されている方は、専門の医療機関の受診をお勧めさせていただく場合があります。