しまだ内科・循環器クリニック

高血圧とは?

高血圧とは?なぜこわい?

高血圧とは、血圧が慢性的に高い状態が続くことを指します。

日本人の成人の3人に1人が高血圧と言われ、非常に患者数の多い病気です。

高血圧の状態が続くと、血管に強い負担がかかり続け、動脈硬化が進みます。これにより、心筋梗塞や脳卒中、腎不全など、命に関わる重大な病気が突然起こる可能性があります。

高血圧により起きうる合併症

心筋梗塞、脳卒中、大動脈瘤、大動脈解離、腎不全、心不全、心臓肥大など

高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれる通り、自覚症状が少ない病気です。その結果、取り返しのつかない病気をきっかけに気付く方もいます。

このような背景があるからこそ、治療や予防が大切です。

高血圧の診断基準と目標血圧

診断基準

血圧には「診察室血圧」と「家庭血圧」があり、それぞれ高血圧の基準が異なります。

  • 家庭血圧   135/85mmHg以上
  • 診察室血圧 140/90mmHg以上

診察室では緊張で血圧が高く出やすいため、ふだんから家庭で測定をすることがとても大切です。

目標血圧

日本高血圧学会は「高血圧管理・治療ガイドライン2025」を発表し、血圧管理のが基準が訂されました。

  • 家庭血圧   125/75mmHg未満
  • 診察室血圧 130/80mmHg未満

以前より厳格なコントロールを推奨されるようになりました。

この背景としては、様々な研究で、より厳格にコントロールした方が合併症や死亡リスクを下げることができる、ということが明らかになってきたためです。

以下に、2025年ガイドラインによる診断基準と治療目標をまとめます。

血圧の判断基準と治療目標

※高齢者や合併症を持つ方では、積極的な降圧によりデメリットを生じる場合もあり、主治医と相談しながら目標血圧を決めていく必要があります。

高血圧の種類

本態性高血圧

原因となる疾患が明らかでなく、遺伝的要因、生活習慣、加齢などが要因となり生じる高血圧のことを指します。日本人の高血圧のおよそ9割はこの本態性高血圧です。

代表的な要因:塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、喫煙、飲酒、睡眠不足など

二次性高血圧症

ホルモンの分泌異常や、血管の狭窄があることで高血圧に至ります。この場合、まずは原因疾患の治療が必要となります。

例:原発性アルドステロン症、腎血管性高血圧症など

白衣高血圧

家庭血圧は低いのに診察室血圧が高い場合、「白衣高血圧」と呼ばれます。近いうちに治療が必要な高血圧に移行しやすく、経過観察が必要です。

仮面高血圧

診察室血圧は正常でも家庭血圧が高い場合、「仮面高血圧」と呼ばれます。

通常の高血圧の方と同等に心血管リスクが高いことがわかっており、治療が必要です。

高血圧症の治療

生活習慣の改善

高血圧の多くは生活習慣と密接に関係しており、生活習慣の改善はほぼ全ての方に必須の治療です。生活習慣改善の重要性は、2025年ガイドラインでも強調されている点です。

① 減塩

日本人の平均塩分摂取量は1日約10gですが、治療目標は6g未満です。

減塩のポイント

だしや香辛料を活用、減塩しょうゆを使う、汁物を飲みほさない、外食の回数を減らす など

② 適正体重の維持(BMI 18.5〜25)

肥満により内臓脂肪が多くなると、交感神経やホルモンの働きで血圧が上昇します。

ウエスト周囲径(男性85cm未満、女性90cm未満)も目安になります

減量のポイント

・無理な食事制限をせずバランスの良い食事を心がける
・1ヶ月で1〜2kg程度を目安に減量する など

③ 適度な運動

適度な運動は、血管の弾力を柔らかく保ち、心肺機能や筋力の維持にも役立ちます。

推奨される運動

・ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動
・スクワット、軽いダンベルなどの軽い筋力トレーニング
・目標とする頻度・時間
・1回30分以上(10分×3回でも良い)、週150分以上が目標

少しの時間でも、継続していくことが大切

④ 禁煙

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧上昇につながります。

禁煙することは重要な課題であり、難しい場合は禁煙外来やニコチンパッチなどを使用することで、成功率を上げることができます。

⑤ 節酒

飲酒は一時的に血圧を下げますが、長期的には血圧を上昇させてしまいます。

・飲酒量の目安
・1日20〜25g程度(ビール500ml、日本酒1合、ワイン180ml、焼酎1/2合)
・休肝日を週に2日以上

⑥ 睡眠、ストレス発散

睡眠不足や過度なストレスは血管を収縮させ、高血圧のリスクになります。

早朝の高血圧がある方では睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあり、精査が必要です。

薬物治療

生活習慣を改善しても十分な降圧が得られない場合は、薬物治療を行います。

状態や病態に合わせて降圧薬単剤で治療を開始し、不十分な場合は、多剤を併用します。

高血圧の予防や改善には毎日の習慣が大切

高血圧はサイレントキラーと呼ばれ、放置すると命に関わる病気を引き起こします。

2025年に改訂されたガイドラインで、血圧管理はより厳格に行うことが推奨されるようになりました。

高血圧の予防、改善には、薬だけではなく、日々の血圧管理と生活習慣改善がとても重要です。

「血圧が少し高いといわれたけど大丈夫かな?」
「どこを改善したらいいかわからない」

そのような心配事がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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