心雑音
なんで心臓から音が聴こえるの?
心臓は、私たちが生まれてから休むことなく血液を全身に送り出す「ポンプ」の役割をしています。心臓の中には4つの部屋があり、その間には部屋どうしを区切るドアのような「弁」と呼ばれるものがあります。血液はこのドアが開くことで次の部屋に進み、閉まることで逆流しないようになっています。
心臓から「ドックン、ドックン」と聴こえるのは、心臓そのものが動いている音ではなく、この「弁」が開いたり閉じたりするときに生じる音です。
もしこのドアが開きにくくなれば、血液は狭い隙間をなんとか通ろうとし、「ザー、ザー」という雑音が聴こえるようになります。逆にドアの締まりが悪く隙間が空いてしまうと、せっかく進んだ血液が逆戻りしてしまい、これも雑音として聴くことができます。
つまり「心雑音」とは、心臓のドアである「弁」の不具合によって生じる音です病気のサインであることもあり、きちんと調べる必要がありきす。
心雑音の種類
心雑音が聴こえるのは、必ずしも病気というわけではありません。健康な方でも聴かれることがあります。
では、どのような違いがあるのでしょうか?
機能性雑音
心臓や弁には異常がなくても、血液の流れが速いことによって生じる雑音です。別名「生理的雑音」「無害性雑音」とも呼ばれます。
痩せ型の人、子供など
体の表面に心臓の音が伝わりやすく、雑音が聴こえることがあります。
発熱、貧血、甲状腺疾患など
心臓の拍出量が通常より増えることで、一時的に雑音が聞こえることがあります。
病的雑音
心臓や弁に異常があることで、血液の流れが乱れることで生じる雑音です。
弁膜症
心臓の弁が狭い(狭窄)、または閉じにくい(閉鎖不全)ことで、血液の流れが乱れます。
例: 大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症
先天性心疾患
生まれつき心臓の壁に穴が開いている場合に、雑音が聴こえます。
例: 心房中隔欠損症、心室中隔欠損症など
その他心疾患
心筋症、感染性心内膜炎など
このように、病的雑音は心臓病のサインである可能性があるため、正しく見分けることが重要です。
どうやって心雑音を見分けるの?
聴診器で聴こえる雑音の性質や音の大きさ、聴こえる部位などによってある程度推測することができますが、聴診だけでは完全に判断するのは難しい場合があります。
そのため、検査が必要になります。
よく行われる検査
心エコー
心臓の弁の動きや血液の流れを直接観察でき、心雑音の原因を調べる上で最も有用です。
心電図
心臓の電気の流れや、どこかの部屋に負担がかかっていないか、などを調べます。
胸部レントゲン
心臓の形状の変化がないかを確認します。
血液検査
貧血や甲状腺疾患など、心雑音の背景となる要因の有無を確認します。また心臓にどれだけ負担がかかっているかも把握できます。
心雑音を指摘されたら?
検診や診察で「雑音が聴こえる」と言われたら、不安になるかもしれません。
しかし、すぐに深刻な病気を意味しているわけではなく、小児や若年者ではほとんどが機能性雑音です。
ただし自己判断ではなく、一度は心エコーなどの検査を受けましょう。異常がなければ安心して生活を送ることができますし、病的雑音であれば、早期発見により治療につなげることができます。
まとめ
・心雑音は、心臓の弁や血流の異常で生じる音。
・機能性雑音は病気ではなく、一時的に聴こえる音。
・病的雑音は心臓病のサインであり、検査での確認が必要。
健康診断で心雑音を指摘された方や、胸の音が気になる方は、ぜひ一度当院でご相談ください。循環器専門医が心エコー検査などで詳しく調べ、安心して生活できるようにサポートいたします。