

「ドキドキする」「脈が飛ぶ」「急に苦しくなる」「息が吸いにくいことがある」
そんな症状を感じたことはありませんか?
それはもしかしたら不整脈の症状かもしれません。
ここでは、不整脈とはどの様な病気なのかを解説していきます。
心臓ってどうして規則的に動いているの?
不整脈とは何か、を知る前に、心臓がどうして規則的に動いているかを理解する必要があります。
心臓は、心臓の中を電気の信号が伝わることで拍動しています。
その電気は、心臓の中に「発電所」(洞結節)があり、そこで発電された電気が「電線」を伝わり「中継点」(房室結節)を経由して、また「電線」を通して心臓全体に伝わることで拍動しています。
この「発電所」、「電線」、「中継点」のどこかで不具合が起きることで不整脈が起きます。
不整脈とは?
不整脈とは、心臓の拍動リズムがおかしくなってしまった状態を指します。
不整脈と聞くと心配になる方もいると思いますが、あまり心配する必要のない不整脈からしっかり治療を行うべき不整脈まで、たくさんの種類があります。
不整脈の原因
心臓に負荷や刺激がかかりすぎると、不整脈は起きやすくなります。その原因は様々あります。
加齢
年齢とともに様々な不整脈は起きやすくなります。特に心房細動は高齢者に多い不整脈の代表で、しっかり行うべき不整脈です。
高血圧、心疾患
心臓に直接負担がかかるような持病があると、不整脈を起こしやすくなります。
甲状腺疾患、糖尿病
ホルモン分泌の異常で心臓が頻脈や不整脈を起こすため、精査が必要です。
ストレス、疲労、睡眠不足
心身の負担は、交感神経が休まらないため、心臓にも負担がかかり、不整脈の原因となります。
カフェインやアルコールの過剰摂取
カフェインやアルコールは、交感神経の活性化を引き起こし、心臓に刺激を与えるため、過剰な摂取は不整脈を引き起こす原因になり得ます。
不整脈の種類
拍動リズムで、大きく分けて以下の3つのタイプに別れます。
① 不規則に打つ(脈が飛ぶ、乱れている)
例:心房細動、期外収縮、洞性不整 など
脈が飛んだり、乱れていると感じることが多いです。
健康な方でも一時的に自覚することがありますが、症状が頻繁、または持続的な場合は精査が必要です。
特に心房細動は、高齢者に多く脳梗塞の原因になることがあり、治療が必要です。
② 極端にゆっくり打つ(徐脈性不整脈)
例:房室ブロック、洞不全症候群、スポーツ心臓 など
1分間の心拍数が50回以下になることを徐脈と呼びます。
病的な場合、めまい、ふらつき、息切れを自覚することが多く、重度の場合は失神や意識障害が生じることもあります。
「房室ブロック」や「洞不全症候群」の中でも不可逆的な病態の場合、ペースメーカー留置術での治療が必要になります。
③ 極端に速く打つ(頻脈性不整脈)
例;心室頻拍、頻脈性心房細動、発作性上室頻拍 など
心拍数が1分間に100回以上になる状態です。
動悸や息切れとして自覚することが多く、持続することで心不全に至ることもあります。
致死性の不整脈として「心室頻拍」や「心室細動」があり、緊急性が非常に高い不整脈です。
「頻脈性心房細動」は高齢者に多く、脳梗塞や心不全の原因としても多い不整脈であり、精査加療が必要です。
不整脈の検査
不整脈の確定診断には心電図検査が必要です。心電図検査は痛みもなく簡易的に行うことが可能です。
ただし、不整脈が出現しているときに心電図を施行しないと、正確な診断が行えないので、タイミングも重要です。
12誘導心電図
簡易的で基本となる検査であり、不整脈を疑う症状がある場合はまず行われる検査です。
ただし、一般の心電図は20秒程度しか記録できず、不整脈を記録できないことが多くあります。その場合は24時間携帯型心電図(ホルター心電図)の検査を行います。
ホルター心電図
約24時間の間、心拍を観察することができる検査です。
携帯式の小型の心電計を装着した状態で日常生活を過ごしていただき、寝ている時や体を動かしているときに不整脈や心電図の変化がみられるか、などを観察します。
一般的な12誘導心電図より長時間の観察が行えるため、不整脈を検出できる可能性を高めることができます。
血液検査
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、糖尿病など、不整脈の原因となるような病気が隠れていないかを精査する必要があります。
不整脈の治療
近年不整脈の研究が進み、治療法が確立してきています。
不整脈の種類や重症度によって治療法は異なります。
生活習慣の改善
頻度がかなり少ない様な場合は、生活習慣の見直しのみで改善することもあります。
禁煙、充分な休養をとる、減塩、適度な運動、カフェインの制限、節酒
薬物治療
生活習慣を見直しても症状が取れない、症状が頻回の場合は、薬剤での治療が必要です。
心拍数を下げるβ遮断薬や抗不整脈薬があります。
抗不整脈薬は選択によっては別の不整脈を引き起こすことがあり、専門医による診察・処方が望まれます。
カテーテルアブレーション
不整脈は薬物治療でも抑えきれないことがあります。その場合、不整脈の種類によっては、カテーテルにて異常な回路を焼灼(アブレーション)する治療を行います。
必要と判断された場合は、この治療が行える医療機関に紹介させていただきます。
ペースメーカー
徐脈性不整脈で、変化が不可逆的と判断された場合は、人工的に脈を補うためにペースメーカーを留置する手術が必要です。必要と判断された場合は、治療が行える医療機関へ紹介させていただきます。
不整脈かな?と思ったら循環器内科を受診しましょう!
放っておいても良い軽症のものから、命に関わる重症なものまであるのが不整脈です。
些細な症状でも、ときには心臓からの重大な病気のサインであることもありますので、気になる症状がある方、家族に心臓病の人がいる方など、心配な点がある方は、早めに循環器内科を受診しましょう。
当院では循環器専門医による診察に加え、血液検査、心電図、心臓超音波検査など様々な検査を提供しています。何かお困りのことがあれば、お気軽に当院にご相談ください。