心筋梗塞とは
心筋梗塞とは、心臓の筋肉を栄養している血管である「冠動脈」が閉塞してしまい、心臓の筋肉が壊死してしまう、生命に関わる疾患です。
心臓は大きく分けて3本の冠動脈によって栄養されていますが、いずれか1本が詰まってしまうことで、心筋へ酸素や栄養の供給が途絶えてしまい、心筋梗塞に至ります。
心筋梗塞を発症すると、刻一刻と心筋の壊死が進み、12時間程度で完成してしまいます。壊死した心筋は、基本的には元に戻ることはなく、重大な後遺症を残してしまうため、可能な限り早く治療が必要です。
どんな症状がでるの?
心筋梗塞を発症すると、突然胸の強い痛みや圧迫感が出現します。
狭心症と同様の症状が現れますが、狭心症より強い症状が出現することが多く、冷や汗などを伴うこともあります。
また狭心症は体を休めることで、5〜10分程度で症状が治るのに対し、心筋梗塞は持続的に症状が出現します。
強い胸痛、持続するような胸痛が出現した際は、速やかに医療機関への相談が必要です。
心筋梗塞の原因
冠危険因子とは?
冠危険因子とは、狭心症や心筋梗塞など、「冠動脈疾患を発症するリスクを高める要因」を指します。冠危険因子を持つことで、動脈硬化が進行していき、狭心症や心筋梗塞に発展していきます。主に生活習慣病が含まれますが、因子を多く保有するほど、リスクが高まります。
冠危険因子には、改善できるものとできないものがあります。改善できるものは主に生活習慣病であり、生活習慣の改善に取り組むことで、リスクを下げることが可能です。
① 改善できる冠危険因子 ・喫煙
- 高血圧
- 脂質異常症
- 糖尿病
- 肥満、睡眠時無呼吸症候群
- 運動不足
② 改善できない冠危険因子
- 年齢
- 遺伝
- 男性(女性より発症率が高い)
心筋梗塞の検査はどんな検査をするの?
心電図検査
心筋梗塞を発症している場合、心電図に特徴的な変化が見られますので、すぐに診断がつく場合が多く、胸痛が見られる場合に行う基本的な検査です。
血液検査
心筋梗塞を発症すると、普段は血液中に存在しない「心筋トロポニンT」という酵素が血液中に放出されます。
そのためこの酵素が血液中に存在するかを検査することで、早期診断・治療に役立てることができます。
この心筋トロポニンTの有無を判定する迅速検査キットがあるため、院内で簡単に検査を行うことができます。当院でも施行できますので、疑わしい場合は施行します。
心臓超音波検査
心臓の機能や局所的な運動異常がないかを精査します。心筋梗塞の場合、閉塞した冠動脈が栄養していた部位の心臓の筋肉の動きが鈍くなるため、超音波で動きの悪さがないかを確認することができます。
心臓カテーテル検査
上記の検査で心筋梗塞の診断に至った場合に施行されます。
カテーテルと呼ばれる細い管を手首の血管などから冠動脈まで通し、その管を通して造影剤を用いて染めることで、冠動脈が閉塞している部位を特定します。
心筋梗塞の場合、このカテーテル検査で診断・治療が必要ですので、診断に至った場合は連携病院へ紹介いたします。
心筋梗塞の治療方法は?
心筋梗塞に至る前の狭心症の段階で治療すること、そもそも動脈硬化を起こさないように生活習慣病を管理していくことが望ましいです。
心筋梗塞を発症した場合は、以下の治療を行います。
カテーテル・インターベンション
心筋梗塞の発作が起こっている場合、カテーテルという細い管を用いて冠動脈の詰まった部位を特定し、バルーンを用いて血流を再開させる治療を行います。
最終的にステントと呼ばれる数mmの細い網目上の金具を留置し、血管が再狭窄を起こさないように固定します。
心臓の筋肉は、刻一刻とダメージを受けてしまうため、できる限り早期にこの治療を行う必要があります。そのため、心筋梗塞の診断に至った又は疑わしい場合、対応できる医療機関に連携し、紹介させていただきます。
薬物治療
心筋梗塞を発症した場合、心臓の一部が壊死してしまいます。その壊死した部位の影響で、心臓全体の機能が低下していってしまいます。この現象は「リモデリング」と呼ばれ、このリモデリングが進行するのを抑えるための薬剤を内服していく必要があります。
生活習慣の改善
先ほど挙げた冠危険因子の中で、生活習慣病の治療を行なっていきます。食事・運動療法を始め、薬物治療も必要です。
塩分制限、禁煙、節酒、適度な運動など
心臓の病気は、症状がなくても、放っておくことで心機能が低下してしまうことがあり、必要に応じて薬物治療も併用して行います。
心筋梗塞の不安や、気になることがあれば早めに相談を
もし心筋梗塞を発症してしまっている場合は、できる限りの早期治療が必要です。
心筋梗塞の診断または疑わしい時点で、対応できる医療機関に早期紹介させていただきますので、気になる症状がある場合は早めにご相談ください。