高血圧とは?

高血圧って何がいけない?

血圧とは、心臓から拍出された血液が血管の壁を押す力のことです。

高血圧とは、血圧が高い状態が続くことを指します。日本国内では、3人に1人が高血圧とも言われており、非常に罹患率の高い病気です。

高血圧の状態が続いていると、血管の壁が強く押され続けることで負担がかかってしまい、徐々に動脈硬化が進んでしまいます。

動脈硬化が進むと発症する疾患には、突然発症し命に関わる疾患も多いため、予防医療が非常に重要であり、治療が必要となってきます。

治療により血圧をコントローすることができれば、重大な疾患に至るリスクを下げることができます。

高血圧により起きうる合併症

心筋梗塞、脳卒中、大動脈瘤、大動脈解離、腎不全、心不全、心臓肥大など

高血圧の定義

医療機関で計測する血圧を「診察室血圧」、自宅で測定する血圧を「家庭血圧」といい、それぞれ高血圧の基準が違います。

  • 家庭血圧   135/85mmHg以上
  • 診察室血圧 140/90mmHg以上

家庭ではくつろいだ状態で測定でき、一方診察室では緊張を伴い血圧が高く出てしまうことがあるため、基準が変わってきます。

どんな症状が出るの?

生活習慣病全般に言えることですが、日常生活で症状がなく(中には、ほてり、動悸、めまいなどを自覚する方もいます)、治療をせずに放置してしまうことがあります。

その結果、知らない間に動脈硬化が進み、脳卒中、心筋梗塞、慢性腎臓病など、発症してしまうと後戻りすることのできない病気で気付く方もいます。

そのような事態に至る前から、しっかり治療が必要となってきます。

高血圧の種類・原因

本態性高血圧

原因となる疾患が明らかでなく、遺伝的要因、生活習慣、加齢などが要因となり生じる高血圧のことを指します。日本人の高血圧のおよそ9割はこの本態性高血圧です。

問題となる生活習慣として、塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、喫煙、飲酒、睡眠不足などが挙げられます。

二次性高血圧症

ホルモンの分泌異常や、血管の狭窄があることで高血圧に至ります。

この場合は、まずは原因疾患の治療が必要となります。

例:原発性アルドステロン症、腎血管性高血圧症など

白衣高血圧

普段の血圧は低いのにも関わらず、診察室で測定する血圧だけ高い場合は、「白衣高血圧」と呼ばれます。これは医療機関に受診した際に、緊張で血圧が上昇するためです。

白衣高血圧の場合、治療を必要としないことがほとんどですが、近いうちに高血圧に移行するという報告もあり、継続的な観察が必要です。

仮面高血圧

白衣高血圧とは逆で、普段の血圧が高く、診察室で測定する血圧は正常の場合を、仮面を被ったように隠れていることから「仮面高血圧」と呼びます。

喫煙者、アルコール多飲者、ストレスが多い方、身体的活動度の高い方がなりやすいです。

この仮面高血圧は、通常の高血圧の方と同等に心血管イベントリスクが高いことがわかっています。そのため、普段から自宅でも血圧を測定し、自宅血圧が高値であれば治療が必要です。

高血圧症の治療

本態性高血圧症の場合は、生活習慣の改善が重要となりますので、医師と相談しながらできることを行なっていきましょう。

生活習慣の改善

① 塩分を控える

もともと日本食には塩分を多く含む調味料を用いることが多く、日本人は平均的にも塩分摂取量が多くなります。例として醤油や味噌などの調味料、梅干しや漬物などが挙げられます。

近年は日本食以外でも、加工肉食品(ベーコン、ソーセージなど)を摂取する機会も増え、塩分摂取量が増えています。また外食も塩分摂取過多の原因となります。

塩分の1日摂取量は6g未満が目安となっています。減塩食、濃い味に慣れてしまっていると「味が薄い」と感じてしまうことも多いですが、出汁の旨みを活かす、スパイスを工夫する、酢や柑橘類の酸味を活かす、などが有効です。

しっかり6g未満に抑えられなくても、減塩を意識するだけで塩分摂取量は抑えることが可能です。

例:汁物はなるべく飲まない、外食を控える、バランスの良い食事をとる、など。

② 減量、適正体重の維持

肥満に相当する方は高血圧に限らず、生活習慣病を発症しやすくなるため、減量が必要です。

肥満の定義としてはB M I 25以上であり、適正体重は18.5〜25と言われています。

過度な減量や急激な減量は体調を崩すことになりますので、ゆっくりと目指していくことが望ましいです。

③ 適度な運動

適度な運動は血流を改善し、血管に良い刺激を与えることで弾力が生まれて丈夫な血管になっていきます。また減量にもつながり、生活習慣病の改善につながります。

運動の種類としては、散歩、ジョギング、水泳などの有酸素運動や筋力トレーニングが有効とされています。1回30分以上、週150分以上が目標となりますが、達成できなくても少しの時間でも継続していくことが大切です。

ただし、すでに血圧が異常高値の場合は、運動によりさらに血圧が上昇し悪影響となることもありますので、主治医と相談しながら運動をして良いか相談しましょう。

④ 禁煙

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる効果があるため、血圧上昇につながり、動脈硬化が進行します。タバコは血圧上昇だけでなく、肺疾患の罹患率、また心血管疾患の罹患率も上がるため、禁煙は必須です。

⑤ 節酒

飲酒は血管が拡張し、一時的に血圧は下がります。

しかし長期間飲み続けたり、飲酒量が多いほど高血圧になるリスクが高くなります。また、飲酒の際に塩分の多いおつまみを一緒に食べることも影響します。

適度な飲酒量であれば影響は小さいと考えられ、1日あたり20〜25g程度が望ましいとされています。

⑥ ストレス発散

過度なストレスは血管を収縮させ、高血圧のリスクになるため、ストレスを溜め込まないこと、趣味などで発散させることが必要です。

内服治療

生活習慣を改善しても目標まで降圧が得られない場合は、内服治療が必要です。

開始となる場合はまず降圧剤1剤内服で開始となる場合が多いですが、それでも不十分な場合は多剤併用することもあります。

現在降圧剤にはさまざまな種類があり、合併疾患に対して有効なものもあり、それぞれに見合った薬剤が選択されます。

血圧はどのくらい下げたらいいの?

年齢や疾患によっても目標が変わります。

目標とする血圧については主治医とも相談して決定していく必要があります。

血圧を下げる目安